
平成8年度
−栃木県の農作業事故防止実践モデル地区を行く−
農作業事故の発生状況
栃木県の農作業事故発生状況は全体的に低下傾向にある。平成7年は151件で前年より45件減少した。最近では平成元年の231件が最多で4年が128件、5年が129件、6年が196件と推移してきた。
7年を見ると農業施設以外が58%を占めているが、農業機械施設に関わる事故では乗用型トラクターによるものが12件で最も多く、動力草刈機10件、コンバイン9件、籾すり機6件が続いている。
年齢別では60歳以上が半数近くにのぼり、女性の負傷者も13ポイント増加し37%となった。男性では農業機械施設によるものが50%を占めるが、女性は70%が農業機械施設以外の事故である。
農作業事故防止の推進体制
こうした中で、県の農作業事故防止実践モデル地区として平成4年度に河内地区、5年度に上都賀地区、6年度に足利地区が指定され、取り組みが推進された。
河内地区(河内町、上河内町)は農業機械の普及率が高く、トラクターは30馬力クラスが主体でさらに大型化傾向を強めている。モデル地区事故防止運動推進大会として平成5年2月に河内町で女性を中心に約100人が参加し
(1)農作業事故防止についてスライド映写と安全作業についての講話
(2)農業機械士の活動紹介を
、
3月には上河内町で一般農業者90人が参加し
(1)農作業事故防止についての講演
(2)農業機械士活動の紹介を行った。
また危険箇所の調査や機械点検整備指導、点検整備工具などの整備、安全講習会、道路安全走行の実践、危険回避促進のための看板設置などを行った。
講習などによって特に女性の機械操作に関する知識が向上したのを始め、農業機械士の巡回指導により機械に対する理解が深まるなどの成果が上げられている。
農作業事故防止対策
5年度のモデル地区となった上都賀地区(鹿沼市、今市市)では、鹿沼市は農業機械士協議会の活動が活発で、また今市市は県内でも農作業事故の多い地区であることから、事業の推進が期待された。
地区には約6500戸の農家があり、圃場整備率が高く、それに伴い機械の普及率も高い。
事業では危険箇所調査や機械点検整備指導、安全講習会、道路安全走行の実践、危険回避のために看板などの重点的設置などのほか、事故防止運動推進大会が開催された。鹿沼市では5年9月に110人を集めビデオ「急がば回れ、コンバイン操作」などを使って農作業安全啓発を行った。推進大会には鹿沼農業高校生50人が参加した。
また今市市では6年2月と3月に各2日、主として高齢者・婦人を対象にした農作業安全講習会を行い、延べ160人が参加した。
その他の取り組み
成果としては機械の点検整備指導を通じて、ボルトの緩みがなくなったりオイル交換が円滑になるなどし、機械をできるだけ長く使いたいという意識が強まったことなどが報告されている。
またPL法(製造物責任法)の施行以来、事故を起こした場合に機械を販売した業者や系統の対応について、関心が高まっているなどの指摘もされている。
県では高齢者を対象とする安全研修にも着手しているが、対象となる高齢者は自らの加齢を認識したがらないことが問題として指摘されている。個人差はあるが60代になるとハンドルの戻しが遅くなるなど、はっきりした減少が現れるため、運動能力や識別能力などを具体的に示し、自覚を促すべきと指摘されている。