平成5年度農作業事故防止優良事例現地調査
−岩手県−

作業服に反射材の貼付を推進

農作業事故の発生状況

 岩手県の農作業死亡事故件数は昭和46年(1971)から平成4年(1992)の22年間で260件。年平均で11.8件になる。死亡事故発生状況を機種別に見ると乗用型トラクターによるものが全体の42%、耕うん機が22%を占める。年平均ではそれぞれ5.0件、2.6件発生していることになる。形態としては横転下敷き(37%)、転落(23%)、交通事故(12%)がトップ3。平成4年(16件)のうち、乗用型トラクターによるものは3件、耕うん機によるものは2件発生した。発生場所では道路が41%、圃場が35%で合わせて4分の3を超える。また年齢別では51歳以上が全体の55%を占めており、高齢者の占める割合は年々拡大する傾向にある。さらに事故発生は農繁期の週末と週始めが比較的多く、時間帯では14〜16時が4割を占めているのが特徴だ。
 一方、県独自調査による傷害事故件数を見ると平成3年に389件、4年が456件で昭和53年(2162件)の調査開始時と比較すると減少傾向にある。しかし、こうしたけがによって1カ月以上の休業を余儀なくされるものが男で53%、女で63%に達するなど、重傷化の傾向が見受けられる。

農作業事故防止の推進体制

 県では昭和52年に設置した農作業安全対策協議会を主体に農作業事故防止事業を推進している。この協議会は県農政部長を委員長に各関係機関の代表や担当部署の長を委員として推進計画などに関わる検討や決定を行い、役割を分担して運動を推進している。平成5年度を例に挙げると、「明るい笑顔は無事故から」をスローガンに、(1)道路上での事故防止、(2)農業機械の整備点検などの推進、(3)安全意識の高揚、(4)労災保険の加入促進を重点的に展開した。特に春と秋の農繁期にはそれぞれ2カ月間を農作業安全月間として設定し、広報活動やチラシ・はがきの配布などを通じて安全意識を啓発している。

農作業事故防止対策

 さらに県独自の様々な取り組みを行った。まず農業機械の新規購入農家を対象に冬の農閑期を利用した機械操作などの研修を実施した。これは農機販売店担当者などを講師に行うもの。県では兼ねてから機械販売時の安全指導に力を入れており、県農業機械協会を通じて「祈 農作業安全 定期点検整備を受けましょう」と書かれた販売年確認シールを販売店、農協などに配布してきた。また、モデルケースとして反射布の衣服類への貼付を実施し、夜間道路上でのテストなどで効果を確認し、普及促進に取り組んでいる。
 さらに死亡事故・傷害事故・ヒヤリ事故の関係を示すハインリッヒの事故比率(1:29:300)を重視した農作業ヒヤリ・ハット事故体験募集、家庭から安全意識を盛り上げるため小・中・高校生を対象にした農作業事故防止親子作文の募集など新たな取り組みも進めている。

その他の取り組み

 このほかにも県では、農作業事故防止推進大会や農業機械利用技能協議会などの催しや研修活動を通じた安全対策に取り組んでいる。安全研修では女性や高齢者の研修にも力を入れ、また高校生トラクター研修、農業機械指導者研修、汎用コンバイン研修、中古農機評価研修、農業用無人ヘリコプター研修など、農業者の技能向上にも努めている。さらに農協青年部、婦人部、生活改善グループ、農業機械士連絡協議会などが中心となって、農作業事故防止メッセージの電話リレーやトラクターパレードなどを行う「農作業事故防止『一声』声かけ運動」など、地域に密着したユニークな取り組みも盛んに行われている。



戻る