平成4年度農作業事故防止優良事例現地調査
−北海道−

安全フレーム装着促進し転倒事故防止

農作業事故の発生状況

 日本の食料基地である北海道は大型機械化のメッカでもある。しかし農作業事故として年間約3000人の死傷者が発生している。昭和45年度から集計されている調査によると、負傷者数は平成元年で2983件、3年が2957件。ほぼ3000件弱で推移しているが、これは調査を開始した昭和45年に比べるとほぼ9倍に達する。農業就業者75人に1人、農家人口142人に1人の受傷率となり、道路交通事故が道民190人に1人であるのに比較しても悲惨な状況と言える。一方、死亡事故では昭和40年代後半に急増したが、安全フレームが普及し始めた50年以降はやや減少傾向だが、平成元年に45件、3年に39件と、年間40件を大きく下回るまでには至っていない。
 事故の要因を見ると、負傷事故の6割、死亡事故の8割以上が農業機械であり、特に死亡事故ではトラクターによるものが全体の約半分を占めているのが特徴。原因としてはやはり転倒・転落が多く、昭和61年〜平成3年の転倒・転落事故54件のうち45件が安全フレーム未装着だったことから、安全フレーム装着の重要性が改めて再確認できる。

農作業事故防止の推進体制

 北海道の農作業安全への取り組みは、道都関係団体、メーカーなどで構成される北海道農作業安全運動推進本部が中心となっている。これに14ある地区別農作業安全運動推進本部、102市町村からなる市町村農作業安全運動推進本部の3段構成がとられている。
 毎年5〜7月の春期と9〜10月の秋期を安全運動強調週間として、(1)テレビ・ラジオのニュース番組の活用、(2)ラジオのスポット放送、(3)農業関連新聞などで実態と対策を訴える、(4)特製ポスターの配布・掲示、(5)チラシの作成と全農家への配布、(6)広報車や有線放送での啓蒙活動依頼、(7)安全対策にかかる各種資材の斡旋などを行っている。また交通安全運動期間には道警などと連携し農業機械の道路上の安全対策を促進したり、道農協青年婦人部協議会に対して農作業安全を呼びかけ、下部浸透を図るなどの取り組みにも力を入れている。
 さらに毎年、農作業事故の発生率が高い3〜5市町村を農作業安全重点地区として指定し、それぞれの地区では年齢階層別の安全講習会や基本操作講習会を開催し、意識の高揚と技術の向上に努めている。また指定地域外でも農作業安全移動教室を開催し、地域事情に沿った講習に取り組んでいる。このほかにもトラクターの安全・管理点検、環境点検や指導者(安全指導員と農業機械士)を対象とした年2回の研修会開催、農作業安全標語の募集を通じた意識啓蒙なども重要な活動の一つだ。

農作業事故防止対策

 安全運動推進本部では平成3年に「農業機械の道路走行に関する指導」を通達した。道路走行中の事故が多発傾向にあるため、緊急措置として注意事項の周知徹底を図ったものだ。これには「1500CC以上のトラクターの運転については大型特殊免許、牽引されるトラクターの車両重量が750kgを超えるときは牽引免許が必要」「薄暮時は早めに点灯すること」などの項目が強調されている。さらに追突事故防止のために低速走行反射板の使用を呼びかけ、三角低速走行マークの認識の拡大と普及に取り組んだ。またトラクターの転倒・転落事故を防止する対策として、安全フレームの開発や普及にも全国に先駆けて注力し、装着促進に向けた活動が行われてきた。

その他の取り組み

 道内14の地域推進本部では、それぞれの地域独自の体制に沿った活動も行われている。例えば、全国随一の畑作地帯である十勝地区では大型トラクターや広報車を連ねた「農作業安全パレード」を行い地元を始め広範な地域に対しPRを行い、話題を呼んだ。また十勝地区内の更別村では各種安全指導に付随して、機械に引き込まれたときに袖や裾だけが剥ぎ取られる仕組みの安全服を全農家に無料配布するなどユニークな取り組みが注目されている。このような道、地区、市町村の各段階の取り組みは着実に安全意識の向上に結びついているようだ。



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