
平成9年度農作業事故防止優良事例現地調査
−群馬県−
農作業事故の発生状況
群馬県における農作業死亡事故は昭和52〜平成9年度の21年間で176件発生しており、年平均8.3件となっている。平成では元、3、7各年度が10件と多く、8年度は3件と減少した。
機械・施設の死亡事故のうち歩行型トラクターによるものが29%で最も多く、乗用型トラクターの26%を上回っている。農繁期の発生件数が多いが、機械の多様化などにより最近は発生件数の山が年間を通じてなだらかになっている。
農作業事故防止の推進体制
県北部に位置する白沢村は利根農業改良普及センター管内にある。同センター管内には沼田市、水上町、新治村など1市2町6村があり、9市町村を母体に約1700人で組織される農業研究連絡協議会の中には、農業機械士を主体とした農業機械研究部会があり農業機械作業競技会や視察研修会など農作業安全に取り組んできた。白沢村でもこの活動の一環として農作業安全対策が進められている。
農作業事故防止対策
村では平成4年に農作業事故防止モデル事業の指定を受け、白沢村農業機械士会が発足。それまで3人しかいなかった機械士が現在では12人にまで増え、村の機械化営農や安全対策に指導的な役割を発揮している。
新たに機械士の資格を取得したのはほとんどが後継者で、村にとってその効果は大きい。モデル事業では危険箇所マップを作成、それに基づいて格納庫やビニールハウスの横など、要所に「農耕車注意」などの標識を設置した。標識の耐久性を考え、専門業者に依頼し外枠を補強したものだ。
さらに村ではかつては農作業事故が発生していたが、ここ数年は小さな事故さえ起きていない。モデル事業による効果としては、農業者対象の労災保険の加入促進が増加したことにも示されている。また整備研修なども機械士が中心となって農協や農機販売店の担当者を講師に招き、集落の独自性を出すようになった。
地域農業の振興と農作業安全に機械士の役割が高いことを実証してきており、役場でも機械士の育成に力を入れている。モデル事業は農業者だけでなく行政側の意識改革も鮮明にしたと言えるだろう。
その他の取り組み
県の農作業環境診断・改善整備事業の実施地区となっている富士見村では平成10年1月、農作業機械安全利用研修会が開催され、事故防止に関する農家の意識や取り組みなどについて検討された。研修会に参加したオペレーター約50人は「特に代かき時期などに轍によって運転の自由が利かず危険な場合がある」「仕事を引き受けたときに入りたくないような圃場がある。圃場の出入り口などの指導を農協が行うなど、地域での話し合いが必要」「機械化集団としてはオペレーター対策の一環として労災保険の加入促進を考える必要があるのでは」などの意見が出され、検討が行われた。またコンピューター化が進む農業機械に対応した新しい発想の安全対策や、Uターン組など途中から参加している知識の浅い人たちへの安全啓発の重要性なども指摘された。