
平成6年度農作業事故防止優良事例現地調査
−福岡県−
農作業事故の発生状況
福岡県の農作業死亡事故は昭和56年、58年の16件がピーク。平成3年には4件にまで減ったが、4年には8件と再び増加した。最近の傾向としては重大事故が多くなってきており、大型機械の利用増加やオペレーターが何種類もの機械を操作するなどの作業形態が背景にあると見られる。
平成2〜4年の3カ年で県下で発生した農作業死亡事故は18件で、うち機械によるものが15件を占める。機種別では乗用型トラクターが10件と断然多く、いずれも安全フレームは装着されていなかった。
またほとんどが60歳以上の高齢者で、今後農業労働力の高齢化に伴い増加が懸念されている。
なお最近ではコンバインとスピードスプレーヤーなど、多機種での事故が増加している。
農作業事故防止の推進体制
福岡県では農作業事故防止対策として既存の対策のほか、集団のオペレーターを対象とした機械点検整備や安全講習、女性に対する安全操作の啓発などを重視している。6年度は次のような対策を実施した。
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「農作業安全啓発月間の設置」春(6月)、秋(10月)の各1カ月間、啓発ポスターを関係機関に配布するなど全県下で推進。
- 「農作業事故防止モデル地区の設置」モデル地区を三輪町に設置し、農作業事故防止運動推進大会の開催と危険箇所調査の実施、危険箇所マップの作成配布を同町で行った。また安全講習会、機械点検整備会を開催。
- 農作業安全事故防止指導研修会の開催」農業改良普及員の機械担当者を対象に、実際のトラクター・コンバインを使用し講習・実習を行った。
- 「農作業事故防止集落講習会」機械利用組織のオペレーターを対象に事故防止の講習会を、女性オペレーターを対象に安全な機械操作などの講習を実施。
- 「事故調査の実施」事故発生後、速やかに綿密な調査を行う。また死亡小票調査、標本集落調査を実施。
農作業事故防止対策
三輪町での推進大会は6年1月に開催され、周辺農家など約130人が参加した。トラクター死亡事故では1人作業による発見の遅れが死亡事故の遠因であり、事故発生直後に助け出せばかなりの割合で救助できたはず、とする医師の臨床報告が関心を呼んだ。
また安全フレームや転倒・転落警報装置を装着したトラクターの操作実演が行われ、効用がアピールされた。
その他の取り組み
福岡県の農業機械士認定者は843人で、うち県農業機械士会会員は53%に当たる446人。県農業機械士会(井上芳男会長)では安全対策を主体とした活動を展開しており、農作業安全講習会の開催、女性オペレーターの育成、会員対象技術研修会、「農業機械士だより」の発行などの事業を展開している。
また女性オペレーターを対象としたトラクター耕協議会の開催では地元テレビが紹介し、話題となった。
このほか県講販連主催の展示会で「機械士コーナー」を設け、安全をPRするなどの体制もとっている。
女性オペレーターに対する安全指導には特に力を入れており、全くの初心者、車は運転するが農業機械の運転は初めて、車、農業機械ともに運転できる、の3ランクに分け、適応した指導で効果を上げている。
同県の女性オペレーターはいちごや茶など県が推進する事業に沿って増加しており、県下で7つのオペレーター組織ができるなど、活動は活発化している。