平成7年度農作業事故防止優良事例現地調査
−女性農業機械士「アムロン」の活−

農作業安全をめざし女性機械士が結集

農作業事故の発生状況

 富山県きっての銘柄米「入善コシヒカリ」の産地、下新川郡入善町はかつて農作業事故が際立って多かった。平成元年度の農業機械による事故発生件数は県全体(108件)の15.8%に当たる17件にものぼり、うち5県が女性の事故だった。
 兼業化率は高いが稲作には意欲的であり、農業機械の導入率が高いことが背景にある。しかし農業改良普及センターの調査の結果、事故要因は「農業機械を操作するもの」より、農業機械に対する安全知識が不十分な「補助作業者」にあることが明らかになり、事故防止のためには補助作業者の農作業安全知識の習得が必要、とする認識が高まっていった。

農作業事故防止の推進体制

 町では後継者不足を背景にオペレーター確保に対する懸念が大きくなる一方で、農業に携わる女性のウエイトは次第に高くなっていた。こうした中で女性のオペレーター養成気運は高まり、全国に先駆けた入善町女性農業機械士会「アムロン」が平成4年に設立された。
 アムロンは入善町農業機械士会、入善農業改良普及センター、JA入善と密接に連携し協力を得ながら、富山県農業機械士会が全面的にバックアップする体制にある。メンバー27人の平均年齢は48.4歳で、20〜30代の若い会員の加入も増えている。
 アムロンでは共通ユニフォームとしてピンク色のつなぎを用意し、「農作業の単なるサポート役から夫の良きパートナーとしての役割と女性の地位確立を図る」ことを基本理念とした。会員は男性に見劣りのしない整備技能や運転操作技術を身につけることを目指し、現地研修や技能検定研修などを重ねた。

農作業事故防止対策

 アムロンでは技術研修と並行して安全研修にも意欲的に取り組んでいる。「農業機械による事故防止対策研修会」のほか「農業機械技能フェスティバル」も年中行事として恒例化している。
 また農林水産省の平成7年度農作業安全確保啓発広報事業による片ブレーキ注意シールやステッカー、反射シールなどのモニターとして安全行政にも協力している。
 さらにアムロンの活動を収録したビデオ「家庭診断トラクター・コンバインの安全作業」(農産漁村文化協会製作)が、日本視聴覚教育協会主催の1993年優秀映像教材選奨で文部大臣賞を受賞するなど、活動ぶりと成果が全国に知られるようになった。
 こうしたアムロンの活動は入善町の農作業事故実態にも大きな影響を及ぼしている。平成元年に17件(うち女性5件)あった農業機械事故は2年に7件(同3件)、3年1件、4年5件、5年2件、6年4件と激減し、3年以降は女性の事故はなくなった。
 女性の意識変革が夫たちにも波及し、家族から地域ぐるみの事故防止に発展する形となった。

その他の取り組み

 アムロンは全国的に萌芽している女性オペレーターグループの模範となるだけでなく、他地域や他県の女性オペレーター組織との情報交換にも積極的だ。
 女性が農業経営の大切なパートナーであるにもかかわらず、社会的評価や位置づけの面で男性と格差があり、その要因は社会的な交流の場への参画が比較的乏しいことにあるからだ。このため市町村の枠を越え中核農家や営農組織との交流で積極的な情報交換・収集の場を持ち、パートナーとしての経営能力を高める活動に一層力を入れている。



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